小説『BUTTER』で世界的な注目を集めた作家の柚木麻子さん。その父親がどんな人なのか、気になって調べた方も多いのではないでしょうか。
ところが実際に探してみると、大手メディアの長いインタビューが何本もあるのに、そのどれにも父親が出てこないんです。
この記事では、柚木麻子さんの父親について公表されていることと、代わりに語られてきた母と祖母のエピソードを整理していきます。
・柚木麻子さんの父親について公表されている情報の有無
・家族の話でくり返し語られてきた母と祖母のエピソード
・「柚木麻子 父親」で検索すると作品の話ばかり出てくる理由
柚木麻子の父親について公表されていること
「柚木麻子さんの父親ってどんな人なんだろう」と思って検索したのに、出てくるのは小説の話ばかり……という経験、ありませんか。
ここでは、父親について実際に何が公表されていて、何が公表されていないのかを整理していきます。
父親の名前や職業は公表されていない
先に結論からお伝えしますね。
柚木麻子さんの父親について、名前・年齢・職業のいずれも公表されている情報はありません。
これは「探し方が足りない」という話ではなく、そもそも表に出ていないタイプの情報です。
実際に、柚木麻子さんのプロフィールが載っている主要なところを一通り当たってみました。
| 確認した情報源 | 父親に関する記載 |
|---|---|
| Wikipedia(柚木麻子) | なし |
| 新潮社の著者プロフィール | なし |
| オレンジページnet 著者プロフィール | なし |
| 絵本ナビ 著者プロフィール | なし |
| 直木賞候補作家データベース | なし |
| 日本経済新聞のインタビュー | なし(母親の話のみ) |
| 東京新聞「東京すくすく」のインタビュー | なし(祖父母と母の話のみ) |
| 「作家の読書道」第120回 | なし(母親の話のみ) |
見ていただくと分かる通り、大手メディアの長尺インタビューが何本もあるのに、そのどれにも父親が出てこないんですよね。
これはけっこう珍しいことです。
作家さんのインタビューでは「本を読むようになったきっかけ」や「育った家庭」が定番の質問になるので、両親どちらかの話は自然と出てくるものなんですが、柚木麻子さんの場合はその枠がほぼ母親と祖母で埋まっています。
つまり、父親の情報が隠されているというより、語られる文脈がこれまで一度も来ていない、というのが実態に近そうです。
なお、ネット上には父親の職業を推測するような書き込みも見かけますが、出どころのある情報ではありません。
一般の方である可能性が高い相手なので、この記事でも憶測は書かない方針でいきますね。
プロフィールに家族の記載がほとんどない理由
父親だけでなく、そもそも柚木麻子さんは家族まわりの情報を細かく出していません。
その背景として大きいのが、本名を公開していないという点です。
柚木麻子はペンネームで、本名は非公開とされています。
Wikipediaの人物欄でも本名は非公開とはっきり書かれていて、ここは長く変わっていません。
本名を出していないということは、家族の姓も自動的に出せないということになります。
父親の名前を出せば本名の手がかりになってしまいますから、書き手側としても触れにくいテーマなんですよね。
ここ、地味に大事なポイントだと思います。
さらに、柚木麻子さんが公の場で語ってきたテーマを見ると、方向性がはっきりしています。
女性同士の関係、働き方、ルッキズム、そして自分自身の子育て。
語る対象は自分が当事者であることに絞られていて、家族の個人情報にはほとんど踏み込まないスタンスなんです。
母親や祖母の話が出てくるときも、名前や勤務先といった特定につながる情報は出てきません。
出てくるのは「美大で油絵をやっていた」「専業主婦だった」といった、人物像が伝わる範囲までです。
このあたりの線引きが、かなり一貫しているように見えます。
家族について語ってきたのは美大出身の母親のこと
父親の情報がない代わりに、母親についてはわりとたくさん語られています。
柚木麻子さんの読書体験や作家としての出発点は、ほぼこの母親と結びついているんですよね。
まず職業的なところから。
母親は美術大学で油絵を専攻していたと、複数のインタビューで語られています。
日本経済新聞の記事でも、東京新聞「東京すくすく」のインタビューでも、この点は共通して出てきます。
その影響で、家には絵本がたくさんありました。
「作家の読書道」のインタビューでは、母親が美大の出身だったせいか、きれいな絵本がたくさん家にあったと振り返っています。
面白いのはこの先で、絵のきれいな絵本に囲まれているうちに文字の少なさに物足りなくなり、文字の多い本へ移っていったという流れなんです。
読書家になるきっかけが、母親の専攻から始まっているわけですね。
もうひとつ、母親の育て方についてこんなエピソードもあります。
小さいころの柚木麻子さんは「あのねあのね」と話しかけ続ける、かなりおしゃべりな子どもだったそうです。
本人いわく、うるさかったんでしょうね、本を読ませていると静かになるということで本を与えられていたんだと思います、とのこと。
……なんか、いいですよね、この身も蓋もない感じ。
『窓ぎわのトットちゃん』を読んだとき「私みたい」と思ったとも語っていて、当時の様子が目に浮かびます。
母親に連れ出された街と、教わった女性同士の関係
母親の人物像については、Hanako Webのインタビューでさらに具体的に語られています。
私は母とめちゃくちゃ仲が良いんです、母はおしゃれでファッションは洋雑誌を参考にしていたような人、という語り方をしています。
得意料理は肉じゃがではなくポルチーニのパスタだった、というエピソードも出てきます。
ブティックや芝居、美術館といった場所へ、子どもの柚木麻子さんを頻繁に連れ出していたそうです。
日本経済新聞の記事では、母親を明るくて社交的な人と表現し、女性同士の人間関係を教えてくれた存在だとも語っています。
女性同士の友情やすれ違いを描いた作品が代表作になっていることを考えると、ここはかなり効いている気がしますね。
母親から受け取った「書き続けなさい」という言葉
母親との関係で、いちばん作家人生に直結しているのがこの助言です。
日本経済新聞のインタビューで、柚木麻子さんは母親からこう教わったと語っています。
とにかく書き続けることが大切、作品を書く中で変化を恥じたり恐れたりしないようにしなさいという言葉です。
油絵をやっていた人の言葉だと思うと、重みが違って聞こえませんか。
作品の作風が変わることをブレたと受け取られるのは、小説でも絵画でも同じように起きることです。
それを先回りして恥じるな、恐れるなと伝えているわけで、これは表現をやってきた人にしか言えない言葉だと思います。
実際、柚木麻子さんの作品は青春小説から社会性の強い長編まで幅が広く、一つの型に収まっていません。
作風が変わり続けることを許可してくれた人が、いちばん近くにいた。これが柚木麻子さんの家庭環境のいちばん大きな特徴だと言えそうです。
なお、読書習慣を作った側のエピソードも残っています。
小学校低学年のころ、買い物のたびに児童書専門店へ一人で向かい、毎回1冊買ってもらう約束をしていたそうです。
柚木麻子さん自身は、母親が読書好きにさせるために必死だったのではと振り返っています。
祖母は名もなき専業主婦だった
家族の話でもう一人、柚木麻子さんが繰り返し語っているのが祖母です。
東京新聞の「東京すくすく」に、祖母についてまとまったインタビューが載っています。
祖母は職業を持たない専業主婦で、90代で亡くなったと語られています。
ただ、その人生はかなり劇的です。
祖父より年上で、実家からは猛反対されたため、駆け落ち同然のかたちで結婚したそうです。
当時の感覚で考えると、これはなかなかの決断ですよね。
祖母自身の性格については、神経質でピリピリしたところがある一方、身ぎれいで部屋の片付けは完璧、家計のやりくりも上手だったとのこと。
食器やインテリアはホテルのようにクラシカルだったそうで、美大出身でアバンギャルドな娘、つまり柚木麻子さんの母親とは趣味がまったく合わなかったと語られています。
親子でここまで方向が違うと、そりゃぶつかりますよね。
娘に着物を手作りしてあげたのに、その色が娘は絶対に着ないようなピンクだった、というエピソードも出てきます。
……これ、悪気がないぶん切ないです。
そしてこの祖母、林芙美子の『放浪記』が大好きで、林芙美子本人に会ってサインをもらった経験を何度も語っていたそうです。
柚木麻子さんの作家デビューをいちばん喜んだのが、この祖母でした。
読んでいてこちらまで温かくなるエピソードだと思います。
祖父は身寄りのない青年から企業の役職者へ
祖母の話の中で、祖父についても少しだけ触れられています。
結婚した当時の祖父は身寄りがなく、貧しい青年だったそうです。
そこから企業で役職を得るまでになったと語られています。
祖母が家計のやりくりに長けていたという話とあわせて読むと、二人三脚で生活を立て直していった様子が見えてきます。
ただし、ここでも祖父の氏名や勤務先といった具体的な情報は語られていません。
家族については人物像までを話し、特定できる情報は出さない。
先ほど触れた線引きが、祖父母の話でも同じように守られているのが分かります。
父親で検索すると出てくるのは作品の中の父親像
最後に、柚木麻子の父親というキーワードで検索したときに何が出てくるのかを整理しておきますね。
実際に検索してみると、上位に並ぶのは本人の父親の話ではありません。
出てくるのは、次の2種類です。
| 検索結果に出てくるもの | 内容 |
|---|---|
| 小説『BUTTER』の登場人物の父親 | 主人公や登場人物の家族関係を論じた読書感想・書評 |
| エッセイやコラムでの父親論 | 家族の中の父親という役割をテーマにした文章への言及 |
たとえば『BUTTER』については、登場人物の家庭環境を読み解いた読書ブログや読書会のレポートが複数上位に来ています。
また、柚木麻子さんが書いたコラムの中の父親のエピソードに、自分と父親の関係に近いと共感した読者の投稿も見つかります。
つまりこのキーワードでヒットしているのは、作品や文章の中で描かれた父親であって、柚木麻子さん本人の父親ではないということです。
ここが分かると、いくら探しても出てこなかった理由に納得がいくのではないでしょうか。
作品のテーマとして父親を扱ってきた作家さんだからこそ、検索の受け皿だけが先に出来てしまっている状態なんですよね。
柚木麻子の父親を調べる人向けの関連情報
父親について分かっていることを見てきたので、ここからは一緒に調べられることの多い項目をまとめておきます。
プロフィールから最近の動きまで、ざっと押さえられるようにしました。
本名は非公開のまま
柚木麻子という名前はペンネームです。
本名は公表されておらず、デビューから現在に至るまで非公開のままとなっています。
Wikipediaのプロフィール欄にも本名は非公開と明記されていて、ここが変わったという発表もありません。
作家さんの中には受賞のタイミングで本名が明かされるケースもありますが、柚木麻子さんは山本周五郎賞を受賞したときも、海外の文学賞を受賞したときも、本名を出していません。
かなり意識的な選択だと思います。
先ほど触れた通り、本名を出さないという判断は家族の情報を出さないという判断とつながっています。
父親の情報がまったく出てこないのも、この方針の延長線上にあると考えるのが自然でしょう。
年齢は1981年生まれの45歳
生年月日も押さえておきましょう。
柚木麻子さんは1981年8月2日生まれで、2026年8月時点で45歳です。
出身は東京都世田谷区とされています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生年月日 | 1981年8月2日 |
| 年齢 | 45歳(2026年8月時点) |
| 出身地 | 東京都世田谷区 |
| 本名 | 非公開 |
| デビュー | 2010年 |
デビューが2010年ですから、20代の終わりで作家になった計算になりますね。
恵泉女学園から立教大学フランス文学科へ
学歴もよく調べられている項目です。
恵泉女学園中学校・高等学校を経て、立教大学文学部フランス文学科を卒業しています。
恵泉女学園は東京都世田谷区船橋にある私立の完全中高一貫女子校です。
女子校での人間関係を描いた作品が多いことを考えると、この6年間の影響は小さくなさそうですよね。
朝日新聞EduAのインタビューでは、母校について、女と女は支え合って創造ができるということを学んだと語っています。
大学でフランス文学科を選んだのは、高校時代にフランス小説に出てくるパリジェンヌに憧れたからだそうです。
……理由がまっすぐで、ちょっといいですよね。
なお、大学時代はシナリオセンターに通い、脚本家を目指していた時期もあったとされています。
卒業後はいきなり作家になったわけではなく、製菓メーカーに就職しています。
その後は塾講師や契約社員として働きながら執筆を続け、2008年に「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞しました。
会社勤めをしながら書き続けた期間を経てのデビューだったわけです。
母親から受け取ったとにかく書き続けることが大切という言葉が、この時期を支えていたのかもしれません。
夫については深夜帰宅とワンオペ育児を語っている
結婚しているのかどうかも気になるところですよね。
柚木麻子さんは既婚で、夫がいることを公表しています。
ただし、夫の氏名や職業は明かされていません。
ここでも家族の特定につながる情報は出さない方針が守られています。
一方で、夫婦の関係については日経ウーマンのインタビューでかなり率直に語っています。
深夜に帰宅する夫への不満から、何度も離婚を考えたと話しているんです。
出産のときも一人でしたし、子育てもワンオペ、腹が立つ腹が立つ、という言葉も出てきます。
さらに、夫の姿が見えないためにシャドーボクシングをしているがごとき状態になる、一人で腹を立てて一人で空回りして一人で疲れてる、とも表現しています。
……この表現、思い当たる人はけっこう多いんじゃないでしょうか。
妊娠前の自由な時間については貴族の遊びのようだったと振り返っていて、育児で生活が一変した実感がうかがえます。
子供は2018年に生まれている
子どもについても公表されています。
2018年に出産し、2024年時点でお子さんは6歳と紹介されています。
こちらもお子さんの名前や性別といった詳細は公表されていません。
出産後の数年については、NHK出版から出たエッセイ『とりあえず湯をわかせ』につづられています。
料理と食を通して日常を考察する内容で、育児の激動期をそのまま書いた一冊として読まれています。
Hanako WebやHugKumのインタビューでは、子育ての悩みについても語っています。
頑張っているのに罪悪感を抱くのはなぜかという問いに向き合ったり、この悩みは環境が変われば解決するかもしれないという視点を提案したりと、自身の経験を土台にした発言が中心です。
つまり子育てについては当事者として語る一方、子ども個人の情報は出さないという線引きになっています。
差別コラム問題でBUTTERの版権を移した
近年いちばん大きく報じられたのが、この出来事です。
2026年4月、柚木麻子さんは『BUTTER』の新潮社との出版契約を解消し、河出書房新社へ版権を移すことを公表しました。
きっかけは、週刊新潮が作家の深沢潮さんの出自に関する差別的なコラムを掲載した問題です。
柚木麻子さんは、差別や排除に対しどう立ち向かうべきか、自分にできる具体的なアクションは何かを検討した結果だと説明しています。
日本経済新聞をはじめとする複数の媒体がこの件を報じました。
『BUTTER』は世界的なベストセラーになっている作品ですから、版元を変えるという判断は簡単なことではありません。
それでも自分の代表作を動かすかたちで意思表示をした、というのが今回の出来事の中身です。
柚木麻子と差別を組み合わせた検索が増えているのは、この件が理由だと考えられます。
BUTTERは世界累計170万部のベストセラー
最後に代表作についても触れておきますね。
『BUTTER』は、首都圏連続不審死事件の被告をモチーフにした長編小説です。
男性優位の社会に適応することや、ルッキズムを内面化すること、体が悲鳴をあげるまで働く生き方に疑問を投げかける作品として読まれています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 翻訳出版 | 40の国・地域で決定 |
| 累計発行部数 | 約170万部 |
| 主な受賞 | ウォーターストーンズ Book of the Year 2024 |
| 主な受賞 | The British Book Awards 2025(Debut Fiction部門) |
| 文庫化 | 2026年6月15日に河出文庫から新規収録を加えて発売 |
イギリスの大手書店チェーンが選ぶ年間ベストに選ばれるというのは、日本の小説としてはかなり異例のことです。
英語版の刊行をきっかけに、海外での評価が一気に広がりました。
このほかの主な受賞歴としては、2015年に『ナイルパーチの女子会』で第28回山本周五郎賞、2016年に第3回高校生直木賞があります。
直木賞の候補にも複数回選ばれている作家さんです。
柚木麻子の父親のまとめ
- 柚木麻子の父親について、名前・年齢・職業はいずれも公表されていない
- Wikipediaや各出版社の著者プロフィールにも父親の記載はない
- 日本経済新聞・東京新聞・作家の読書道など主要インタビューでも父親には触れられていない
- 本名を非公開にしているため、家族の姓につながる情報も出せない事情がある
- 家族の中で語られてきたのは主に母親と祖母
- 母親は美術大学で油絵を専攻していた
- 家に絵本が多かったのは母親の影響とされる
- 母親から、とにかく書き続けること、変化を恥じたり恐れたりしないようにと助言された
- 母親は明るく社交的で、ブティックや芝居、美術館へよく連れ出したという
- 祖母は専業主婦で、祖父より年上、駆け落ち同然に結婚したと語られている
- 祖母は林芙美子の愛読者で、作家デビューをいちばん喜んだ人物
- 検索上位に並ぶのは本人の父ではなく『BUTTER』など作品の中の父親像
- 1981年8月2日生まれ、東京都世田谷区出身で2026年8月時点で45歳
- 恵泉女学園中学校・高等学校から立教大学文学部フランス文学科へ進学
- 既婚で2018年に出産、夫については深夜帰宅とワンオペ育児の不満を語っている
- 2026年4月に差別コラム問題を受け『BUTTER』の版権を新潮社から河出書房新社へ移した

